中山芝1200mでは、前半3Fが後半3Fより約3秒前後速い、かなり強い前傾ラップが基本でした。
では、同じ1200mでもダートになるとどう変わるのでしょうか。
過去5年の中山ダート1200mをクラス別に確認すると、良馬場では新馬戦を除き、未勝利からオープンまで前半3Fの方が後半3Fより速い前傾ラップになっています。
ただし、その前傾の強さは芝1200mほど極端ではありません。
さらにクラスが上がるにつれて大きく変化しているのが、
後半3Fよりも前半3Fの速さ
です。
中山ダート1200mでは、クラスアップするほど序盤のスピード要求が高くなる一方、後半3Fの差は比較的小さい。
この記事では過去5年のデータを中心に、直近1年と馬場状態による違いも確認しながら、中山ダート1200mで求められるラップ適性を考えていきます。
中山ダート1200m・良馬場のクラス別ラップ
まずは良馬場の過去5年平均です。
| クラス | 5年件数 | 基準タイム | 前半3F | 後半3F | 前後半差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新馬 | 15 | 69.87秒 | 34.85秒 | 34.92秒 | -0.07秒 |
| 未勝利 | 23 | 69.51秒 | 34.13秒 | 35.26秒 | -1.13秒 |
| 1勝 | 31 | 68.55秒 | 33.78秒 | 34.72秒 | -0.95秒 |
| 2勝 | 41 | 68.32秒 | 33.76秒 | 34.61秒 | -0.85秒 |
| 3勝 | 24 | 67.86秒 | 33.41秒 | 34.54秒 | -1.12秒 |
| オープン | 28 | 67.69秒 | 33.36秒 | 34.36秒 | -0.99秒 |
前後半差は、
前半3F-後半3F
で計算しています。
マイナスなら前半の方が速い前傾ラップです。
新馬戦は、
34.85秒 → 34.92秒
で差はわずか-0.07秒。
ほぼイーブンです。
ところが未勝利になると、
34.13秒 → 35.26秒
となり、-1.13秒の前傾。
以降もオープンまで、約0.8~1.1秒前後の前傾ラップが続いています。
クラスが上がるほど基準タイムは短縮
基準タイムは、
新馬
69.87秒
未勝利
69.51秒
1勝
68.55秒
2勝
68.32秒
3勝
67.86秒
オープン
67.69秒
です。
新馬とオープンを比較すると、
約2.2秒
の差があります。
特に未勝利から1勝クラスでは、
69.51秒 → 68.55秒
と約1秒短縮。
その後も、
68.32秒
↓
67.86秒
↓
67.69秒
と段階的に速くなっています。
中山ダート1200mでも、クラスアップすると要求される全体スピードが明確に上がっています。
最大の変化は前半3F
今回のデータで特に注目したいのが前半3Fです。
新馬では、
34.85秒
未勝利になると、
34.13秒
1勝、
33.78秒
2勝、
33.76秒
3勝、
33.41秒
オープン、
33.36秒
です。
新馬からオープンでは、
約1.5秒
速くなっています。
1200mという短い距離だけに、この1.5秒はかなり大きな差です。
特に1勝クラス以上になると、平均で前半33秒台。
上級条件では、
33秒台前半の流れへの対応
が必要になります。
昇級馬を見る場合には、
「前走でダート1200mを勝った」
だけではなく、
どのくらいの前半3Fを経験した上で勝ったのか
まで確認する価値があります。
後半3Fの変化は前半ほど大きくない
一方、後半3Fは、
新馬
34.92秒
未勝利
35.26秒
1勝
34.72秒
2勝
34.61秒
3勝
34.54秒
オープン
34.36秒
です。
未勝利からオープンを比較しても、
35.26秒 → 34.36秒
で約0.9秒の短縮。
もちろん上級条件ほど後半も速くなっていますが、前半3Fほどクラス差が一直線に表れているわけではありません。
新馬とオープンで比較すると、
前半3Fは、
34.85秒 → 33.36秒
約1.5秒短縮。
後半3Fは、
34.92秒 → 34.36秒
約0.6秒短縮。
つまり中山ダート1200mでは、クラスが上がったときに特に厳しくなるのは、
レース前半のスピード
と考えることができます。
新馬と未勝利でラップ構造が大きく変わる
新馬戦は、
34.85秒 → 34.92秒
とほぼイーブン。
ところが未勝利戦では、
34.13秒 → 35.26秒
となり、一気に前傾が強くなります。
前半3Fだけでも、
34.85秒 → 34.13秒
と0.72秒速くなっています。
新馬戦では比較的落ち着いた流れで走れていた馬でも、未勝利になると序盤からより速いスピードを要求される可能性があります。
そのため新馬戦で好走した馬を見るときも、
最後の脚だけで好走したのか
それとも、
ある程度速い前半にも対応できていたのか
は分けて考えたいところです。
1勝以上では「33秒台への対応」が基本
1勝クラス以上の前半3Fは、
1勝
33.78秒
2勝
33.76秒
3勝
33.41秒
オープン
33.36秒
です。
ここから分かるのは、1勝クラスに上がった段階で平均がすでに33秒台に入っていること。
さらに3勝・オープンでは33秒台前半まで速くなります。
一方、後半3Fは、
1勝
34.72秒
2勝
34.61秒
3勝
34.54秒
オープン
34.36秒
と、前半ほど大きな差ではありません。
つまり上級条件で重要なのは、
最後だけ速く走れることよりも、33秒台の前半に対応した上で後半も大きく崩れないこと
と考える方がデータには合っています。
過去5年と直近1年を比較
次に良馬場の5年平均と直近1年を比較します。
| クラス | 5年基準 | 直近1年 | 5年前半3F | 直近1年前半3F | 5年後半3F | 直近1年後半3F |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 新馬 | 69.87 | 69.43 | 34.85 | 34.77 | 34.92 | 34.40 |
| 未勝利 | 69.51 | 69.27 | 34.13 | 34.25 | 35.26 | 34.93 |
| 1勝 | 68.55 | 68.24 | 33.78 | 34.34 | 34.72 | 33.96 |
| 2勝 | 68.32 | 67.80 | 33.76 | 33.63 | 34.61 | 34.16 |
| 3勝 | 67.86 | 67.66 | 33.41 | 33.26 | 34.54 | 34.50 |
| OP | 67.69 | 67.30 | 33.36 | 33.60 | 34.36 | 33.74 |
全クラスで直近1年の基準タイムは5年平均より少し速くなっています。
ただし、ここはかなり注意が必要です。
直近1年の件数は、
新馬 3レース
未勝利 4レース
1勝 5レース
2勝 7レース
3勝 5レース
オープン 5レース
しかありません。
そのため、
「最近の中山ダート1200mは高速化した」
と断定するにはサンプルが足りません。
数字としては速くなっていますが、現段階では参考程度に見るのが適切です。
1勝クラスの直近1年はラップが逆転している
直近1年で特徴的なのが1勝クラスです。
5年平均では、
前半33.78秒 → 後半34.72秒
で-0.95秒の前傾。
ところが直近1年では、
前半34.34秒 → 後半33.96秒
となり、後半の方が0.38秒速くなっています。
つまり5年平均とは逆の後傾です。
ただし、これも直近1年は5レースだけ。
中山ダート1200mの1勝クラスが最近後傾型に変化した、と判断するには少なすぎます。
むしろ今回のシリーズでは、
直近1年の数字を見るときほど件数をセットで確認する
ことが重要です。
オープンも直近1年はほぼイーブン
オープンも、
5年平均では、
33.36秒 → 34.36秒
で-0.99秒。
一方、直近1年では、
33.60秒 → 33.74秒
で-0.14秒。
かなりイーブンに近づいています。
ただしこちらも5レース。
1勝クラスと同様に、
「最近は前傾が弱くなった」
とまでは言えません。
現時点では、5年平均を基本線として扱った方がいいでしょう。
稍重でも基本的には前傾型
稍重を見ると、
新馬
34.37秒 → 35.57秒
未勝利
33.94秒 → 35.88秒
1勝
33.72秒 → 35.78秒
2勝
34.06秒 → 34.96秒
3勝
33.52秒 → 35.24秒
オープン
33.71秒 → 34.93秒
です。
すべて前半3Fの方が速い前傾型になっています。
特に未勝利は、
-1.94秒
1勝は、
-2.06秒
と、良馬場以上に前後半差が大きくなっています。
ただし稍重の5年件数は、
新馬3
未勝利5
1勝5
2勝5
3勝5
OP7
しかありません。
数字としては面白いものの、
「稍重になると必ず前傾が強くなる」
とまでは言えません。
重・不良はサンプル不足が大きい
重馬場では、
未勝利2
1勝6
2勝3
3勝1
OP2
不良馬場では、
1勝3
2勝2
3勝1
です。
この件数ではクラス別の標準ラップとして使うには少なすぎます。
重馬場では、
1勝
34.28秒 → 35.85秒
2勝
33.70秒 → 36.33秒
OP
33.70秒 → 35.40秒
など前傾型になっています。
不良でも1勝は、
34.77秒 → 35.63秒
と前傾。
一方、不良2勝では、
34.65秒 → 37.95秒
とかなり大きな差が出ています。
しかしわずか2レースなので、この数字をそのまま傾向として使うことはできません。
道悪については、
前傾になったケースは多いが、母数不足で強い結論は出さない
という扱いが安全です。
芝1200mとの違い|同じ前傾でも強さが違う
中山芝1200mと比較すると、ここはかなり面白い違いがあります。
芝1200mの良馬場では、前後半差が各クラスでおおむね、
約-3秒前後
でした。
一方、ダート1200mの良馬場では、新馬を除けば、
約-0.8~-1.1秒前後
です。
つまり、
芝1200m=かなり強い前傾
ダート1200m=前傾だが芝ほど極端ではない
という違いがあります。
同じ「1200mは前半が速い」と言っても、芝とダートではその内容が同じではありません。
芝では後半に大きく時計を落とす形。
ダートでは前半が速いものの、前後半差自体は芝ほど大きくない。
距離だけではなく、
芝・ダートまで分けてラップを見る必要がある
ことが分かります。
中山ダート1200mで求められる能力は?
今回のデータから見ると、特に重要なのは3つです。
まず、
序盤のスピード。
1勝クラス以上では平均前半3Fが33秒台。
上級条件では33秒台前半まで速くなります。
次に、
速い前半への追走力。
未勝利以上では基本的に前傾型です。
序盤から速い流れになるため、前半で置かれてしまう馬はその後も苦しいレースになる可能性があります。
そして、
速い前半から後半までスピードを維持する力。
オープンでは、
33.36秒 → 34.36秒
です。
約1秒減速していますが、それでも後半34秒台前半。
前半だけ速ければいいわけではありません。
33秒台前半で入って、後半も34秒台でまとめる
能力が上級条件では必要になります。
馬券ではどう使う?
たとえば1勝クラスの良馬場5年平均は、
基準タイム68.55秒
前半3F33.78秒
後半3F34.72秒
です。
2勝クラスでは、
68.32秒
33.76秒
34.61秒
となります。
1勝から2勝では数字の差はそれほど大きくありません。
一方、3勝になると、
67.86秒
33.41秒
34.54秒
まで前半が速くなります。
そのため昇級馬を見る場合には、
次のクラスに近い前半3Fをすでに経験しているか
を確認したいところです。
たとえば前走で楽な34秒台後半の流れから好走した馬と、
33秒台前半の流れを経験しながら最後まで大きく崩れなかった馬では、
同じ1着でも内容は違います。
中山ダート1200mでは、
前走着順だけではなく、前半3Fの質を見る
ことが昇級馬評価の材料になります。
ただし今回のデータだけでは、
逃げ・先行馬が有利
あるいは、
差し馬が不利
とまでは判断できません。
ラップが前傾であることと、脚質別の有利不利は別の話です。
脚質を判断する場合は通過順位や着順データも合わせる必要があります。
まとめ|中山ダート1200mは「クラスが上がるほど前半スピードの要求が高まる」
過去5年の中山ダート1200mをクラス別に見ると、良馬場では新馬を除き、未勝利からオープンまで前傾ラップが基本でした。
基準タイムは、
新馬69.87秒
から、
オープン67.69秒
へ約2.2秒短縮。
そして前半3Fは、
34.85秒 → 33.36秒
と約1.5秒速くなっています。
一方、後半3Fは、
34.92秒 → 34.36秒
で約0.6秒の短縮。
つまりクラスアップによって特に高くなるのは、
前半3Fのスピード要求
です。
今回のポイントを整理すると、
- 新馬は前後半がほぼイーブン
- 未勝利以上では前傾ラップが基本
- クラスが上がるほど基準タイムは短縮
- 特に前半3Fの要求値が大きく上がる
- 1勝以上では平均前半3Fが33秒台
- 3勝・OPでは33秒台前半まで速くなる
- 芝1200mほど極端な前傾ではない
- 稍重でも前傾型だがサンプル数は少ない
- 重・不良は件数不足のため細かい数字の過信は禁物
- 直近1年も全体時計は速いが、各クラス3~7レース程度なのでトレンド判断は慎重に
馬券で特に見たいのは、
「この馬は次のクラスで要求される前半3Fを経験しているか」
です。
中山ダート1200mでは、
全体タイム × 前半3F × 後半3F × 前後半差
をセットで見る。
中でも前半3Fは、昇級馬の対応力を見る重要な材料になります。
そして中山ダート1200mでは、開催前半・後半によって好走する種牡馬にも違いがありました。
特に種牡馬記事では、ヘニーヒューズなど開催後半に成績を上げるタイプも確認できています。
ラップ傾向と種牡馬傾向を組み合わせながら、出走馬の適性をさらに絞り込んでいきます。


コメント